夢日記はよくないとされている
飲み会の雰囲気は疲れる。
静かな場所を探して煙草を吸いに出た俺を懐かしい声が引きとめた。
「れむくん久しぶりじゃん。彼女、できたんだってね。」
個室にひとりで煙草を吸っていた彼女はそう言った。
そんなもの吸う人ではなかったと思ったが、変わったんだろうなと感じただけだった。
「ひさしぶり。まぁ・・・そうだね、彼女できたね。うん。煙草なんて吸い始めたのか・・・いいもんじゃねぇぞやめとけ。」
いつもの台詞を吐いてから少し雑談をした。
お互い良い印象で終わった恋愛ではなかったはずだけど、夢での彼女は穏やかだった。
彼女が二本目の煙草を手に取った時、何故か俺はこう言った。
「一本吸うか?」
「嫌だよ。思い出すでしょ。昔のこと。」
「あぁ・・・まぁそうだよな。じゃあ俺はお暇しときますわ。じゃあね、久々に話せてよかった」
「うん、じゃあね」
もう一生会うことはないだろう。
嫌だよ。と言われて少しむっとした俺は、差し出した一本の煙草を置いて懐かしさが残る部屋を出た。
その煙草が吸われたかどうかは知らない。